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皆さんこんにちは!
SSW、更新担当の中西です。
今回は、アスベスト除去工事の現場で最も大切にされている「鉄則」について解説します。
アスベスト除去は、普通の解体工事とは一線を画す特殊作業。
**「粉じん=命に関わる」**という認識のもと、作業は一つひとつが命を守る行動でなければなりません。
では、現場で守るべき“5つの鉄則”を順に見ていきましょう。
工事の前には、必ず建物のアスベスト含有調査を行います。
使用されている建材の種類・使用場所・面積・形状を正確に把握
「アスベストあり」と判定された場合は、レベル1〜3のリスク区分を行い、除去方法を選定
調査結果は、労働基準監督署や自治体へ法定の届け出を行う義務
「知らなかった」「見落とした」は許されない。
事前調査こそ、すべての安全管理の出発点です。
除去工事の現場では、アスベストの飛散を絶対に外部へ漏らさないための“養生”が命綱です。
壁・天井・床・出入口をビニールシートで完全密閉
HEPAフィルター付きの負圧除じん装置で、常に作業場内の気圧を低く保つ
作業者の出入り口にはエアシャワー付きの前室(グローブボックス)を設置
作業員が出入りするたびにチリ1つ持ち出さない仕組みをつくることが鉄則です。
作業者が身にまとう装備も、**文字通り「命を守る防具」**です。
専用の防護服(ツナギ型)、使い捨てマスク(P100以上推奨)、ゴーグル、手袋、靴カバー
使用後の防具類はすべて密封して産業廃棄物として廃棄処理
作業時間・休憩時間を管理し、長時間暴露を避けるスケジュール管理も必要
健康診断・粉じん作業歴の管理も含めて、安全衛生管理がすべてのベースです。
アスベスト工事は、近隣住民や関係者への説明責任が非常に重要です。
事前に説明会や通知書を通じて「なぜアスベスト除去が必要なのか」を説明
工事中の騒音・臭気・飛散防止の対策を明示
看板・バリケードでの明確な表示、作業時間の調整なども配慮
「見えない危険」だからこそ、“見える安心”を提供する姿勢が信頼を生みます。
除去作業が完了したら、それで終わりではありません。
作業区域内の**アスベスト繊維濃度測定(空気サンプル)**を実施
0.01本/cm³以下という厳しい基準をクリアするまで再清掃・再測定を繰り返す
最終的に「アスベスト飛散なし」と第三者機関の認定を得て工事完了
「見えない安全」を科学的根拠と証拠で残すことが信頼につながります。
この工事は、目に見えないリスクと常に向き合う、極めて責任の重いプロフェッショナルの仕事です。
だからこそ、現場のすべての判断と作業が「命を守るための鉄則」に基づいて動いています。
私たちはこれからも、過去の過ちを教訓に、安心・安全な未来を築くために丁寧な仕事を続けていきます。
次回もお楽しみに!
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皆さんこんにちは!
SSW、更新担当の中西です。
今回は、「アスベスト除去工事の歴史」についてお話しします。
かつては「奇跡の鉱物」としてもてはやされたアスベスト(石綿)。その後、健康被害が明らかになり、現在では厳重な管理と除去が必要な有害物質となりました。
では、このアスベストが社会でどのように扱われてきたのか、除去工事がどう進化してきたのか、その歴史を見ていきましょう。
アスベストは耐熱性・耐摩耗性・絶縁性に優れ、加工しやすい特徴から、20世紀前半〜高度経済成長期にかけて建材として大活躍しました。
建築物の吹付け材、断熱材、耐火被覆材、波板スレート、ボイラー周りなど、あらゆる分野で使用
特に1955年〜1985年頃までに建てられた多くの学校・病院・工場・公共施設に使用実績あり
当時は「安価で万能な素材」として重宝されていました。
徐々に、アスベストを扱った作業員や住民に、深刻な健康被害が確認されるようになりました。
アスベストの繊維が肺に入り込み、石綿肺・中皮腫・肺がんなどを引き起こすことが判明
潜伏期間が20〜40年と長く、症状が出た頃には手遅れになるケースが多発
1987年:国際がん研究機関が「アスベストは確実な発がん物質」と認定
これを受け、社会全体で「アスベストをどう扱うか?」が大きな課題となりました。
日本では段階的にアスベストの使用が制限されていきました。
1995年:吹付けアスベストの使用が原則禁止
2006年:一部の例外を除き、アスベストを含む建材の製造・使用が全面禁止
2012年:建築物等の解体・改修時にアスベスト使用の有無調査が義務化
こうして、新たなアスベスト使用は原則ゼロに。しかし、過去に使用された建物が残っているため、「除去工事」は今もなお、社会的に重要な作業とされています。
現在では、アスベスト除去工事は高い専門性と厳重な安全対策が求められる仕事です。
厚生労働省の指導に基づいた作業基準と届出義務
除去・封じ込め・囲い込みといった工法の選択
作業員の防護服・マスク着用、負圧養生、飛散防止処理の徹底
作業完了後は空気中のアスベスト濃度測定と第三者機関による検査
「見えない粉じん」が命に関わるからこそ、作業の一つひとつに高い倫理と責任感が求められます。
アスベスト除去は、かつての無知や経済優先の中で広がった素材の“後始末”とも言える作業です。
しかし、その工事は今、未来の健康と安心を守るための希望の仕事でもあります。
次回は、そんなアスベスト除去工事において、現場で守られている“鉄則”についてお話しします。
次回もお楽しみに!
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