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皆さんこんにちは!
SSWの更新担当の中西です。
さて今回は
~確認事項~
ということで、アスベスト除去工事の開始前に必ず確認すべき重要事項を、法令・現場・安全・周辺環境の視点から体系的に解説します。
目次
かつて“夢の建材”として重宝されたアスベスト(石綿)。
しかしその有害性が明らかになった現代において、アスベスト除去工事は極めて慎重かつ法的に厳格な管理が必要な工種となっています。
アスベスト除去は「やることが多すぎて何から始めればよいか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか?
アスベスト除去工事は、事前の準備で成否が決まると言われるほど、段取りと確認が重要です。
法令に違反すれば罰則・行政指導の対象になる
作業員や住民への健康被害につながる可能性がある
計画の不備は工期の遅延・費用の増加・信頼喪失を招く
そのため、「工事に入る前に何を確認しておくか」が安全・品質・コストの全てに直結します。
図面・仕様書・施工記録の収集と精査(書面調査)
有資格者(建築物石綿含有建材調査者)による現地調査・目視確認
必要に応じて材料の採取 → 分析機関による定性分析(JIS法)
📌【ポイント】
アスベストが含まれる可能性がある部位(吹付け材、保温材、壁材、床材など)は、見た目だけでは判断不可。
調査は必ず専門資格者に依頼し、報告書と写真を残しましょう。
労働安全衛生法 ⇒ 作業計画届(労基署へ)
大気汚染防止法 ⇒ 特定建築材料使用の届出(都道府県へ)
事前調査結果報告 ⇒ 石綿事前調査報告システム(電子申請)
有資格者配置(石綿作業主任者、特定化学物質作業主任者)
📌【注意点】
2023年10月から事前調査は“有資格者”の実施が義務化されました。
無届施工や不適切な処理には罰則(50万円以下の罰金など)が課されます。
除去部位までの動線確保・搬入搬出ルートの整備
作業スペースの確保(隔離区画の設置・封じ込め計画)
負圧除じん装置の設置場所・換気設計
仮設電源・水道設備の確認
📌【重要】
除去作業は密閉・負圧・湿潤化が原則。事前に「作業エリアをどのように隔離するか」を設計しておく必要があります。
作業員の資格保有状況の確認(石綿作業主任者など)
作業前の健康診断実施(法定)
作業手順書・マニュアルの整備と周知
特別教育の実施記録・出席管理
📌【ポイント】
作業員がアスベスト粉じんに曝露しないよう、防護服・防じんマスク(区分3以上)の配布と管理も必須です。
工事の概要・工期・作業時間帯・発生音などの案内配布
アスベスト含有除去であることの明記(掲示板・張り紙)
苦情・通報に備えた緊急連絡先の明記と対応体制
📌【ポイント】
住民の不安や誤解を避けるためにも、わかりやすい言葉での説明資料を用意すると信頼度が高まります。
作業工程表(隔離→除去→清掃→養生撤去→測定→解体)
空気中アスベスト濃度測定の手配(除去後)
産業廃棄物処理業者との連携(収集・運搬・最終処分)
マニフェスト制度に基づいた記録保管(5年間以上)
📌【注意】
アスベスト廃材は「特別管理産業廃棄物」に分類され、適切な処理と証拠保全が義務です。
アスベスト除去工事は、一般の解体工事とはまったく異なる高度な管理が求められる特殊作業です。
そのためには
✅ 正確な事前調査と資格者の確認
✅ 法令対応(届出・報告・掲示)の徹底
✅ 作業環境と安全措置の確保
✅ 近隣とのコミュニケーション
✅ 工程と処理の明確な流れの把握
という5つの軸で事前確認を進めることが重要です。
「ただやればいい」ではなく、「正しく、安全に、法的に」除去すること。
それが、今後の建設業における社会的責任と言えるでしょう。
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皆さんこんにちは!
SSWの更新担当の中西です。
さて今回は
~法律~
ということで、アスベスト除去工事に関わる主な法律・制度・義務・罰則などを包括的に解説していきます。
目次
かつて「奇跡の鉱物」と呼ばれ、建材として多く使われていたアスベスト(石綿)。
その後、深刻な健康被害が明らかになり、日本では段階的に使用が禁止され、現在は除去・管理の対象となっています。
しかし、アスベストを含む建物は今なお全国に多数存在し、除去工事にあたっては法令遵守が絶対条件となっています。
アスベストは天然の繊維状鉱物で、耐熱性・耐摩耗性・絶縁性が高いため、建材や工業製品に幅広く使われてきました。
しかし…
長期間吸い込むことで、肺がん・中皮腫・石綿肺などの重篤な疾患を引き起こす
症状が出るまで20~40年という長い潜伏期間がある
このため、2006年には全面的に製造・使用・輸入が禁止されました。
アスベストに関する規制は複数の法令にまたがっており、主に以下の3本柱があります。
労働者の健康を守ることを目的とした法で、除去工事を行う事業者が最も関係する法律です。
アスベスト含有建材を扱う作業の事前調査義務(書面+現地調査)
作業計画の届出義務(作業開始14日前までに所轄労働基準監督署へ)
隔離・負圧措置・湿潤化などの作業環境管理
作業員への特別教育・防護具の着用
作業後の飛散防止措置と周辺環境の清掃
住民や周辺環境へのアスベスト飛散を防止することを目的としています。
特定建築材料(吹付け材など)の事前届出義務(都道府県へ)
工事前の掲示・説明義務(近隣住民への情報提供)
飛散防止対策・作業管理・完了報告書の提出
飛散が確認された場合の緊急通報・指導命令の対象に
📌 令和3年(2021年)の改正により、建物の解体・改修すべてで事前調査結果の報告が義務化されました。
2023年10月より、事前調査は「有資格者」の実施が義務となりました。
対象:延べ面積80㎡以上の解体・改修工事
対象者:建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者などの資格保持者
書面調査と現地確認の両方を必ず実施し、報告を電子システムで登録
法律名 | 内容 |
---|---|
建築基準法 | アスベスト含有建材の新設禁止 |
廃棄物処理法 | 除去したアスベストを特別管理産業廃棄物として適正に処理 |
労働安全衛生規則・石綿則 | 作業基準・健康診断・ばく露防止策などを細かく規定 |
化学物質排出把握管理促進法(PRTR) | 一部の事業では、石綿排出の報告義務あり |
アスベスト除去に関する法律違反には、罰則規定も厳しく設定されています。
違反内容 | 罰則例 |
---|---|
無届施工 | 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(安衛法) |
不適切な作業(飛散防止策未実施など) | 作業停止命令、行政指導、悪質な場合は刑事告発 |
有資格者による事前調査を怠った | 行政処分、報告義務違反による指導 |
📌 発注者(建物所有者)も管理責任を問われるため、業者任せでは済まされません。
年度 | 内容 |
---|---|
2006年 | アスベストの使用・製造・輸入を原則禁止 |
2014年 | 大気汚染防止法に基づくアスベスト対策を強化 |
2021年 | 全ての解体・改修工事に「事前調査結果の報告義務」追加 |
2023年 | アスベスト事前調査の有資格者制度が施行(2023年10月〜) |
このように、規制は年々強化されており、2025年以降はさらに厳格な管理体制が求められる可能性もあります。
有資格者の育成(調査者・主任者・技能講習受講者)
安全衛生管理体制の整備とマニュアル作成
作業記録・写真・測定値などの証拠保全体制の構築
アスベスト含有建材の保有建物リスト化
解体・改修工事前に調査と届出が必要なことを理解しておく
信頼できる認定業者の選定と契約前のチェック
アスベスト除去工事は、建物や作業者だけでなく、周辺住民や未来の健康にも影響を与える重要な工事です。
法令は、
労働者の命を守るため
地域の安全を守るため
再発を防ぐため
に、年々厳格化されています。
法を正しく理解し、適切な施工体制を整えることが、社会的責任と信頼を守る第一歩となるのです。
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